今回はブルース・リー創始、ジュンファングンフー(振藩功夫)とジークンドー(截拳道)の違いについて書いていこうと思います。
世間ではこの二つを間違えて、または同じものとして表現していることがあります。
簡単に言えばブルース・リーが教えていた武術で名前が知られている方といえば、ジークンドーです。
ジュンファングンフーと言われても、理解できる方は限られます。
あまり良い表現ではありませんが、ジークンドーと言えば、中身が違っても、習いたい人が集まるでしょう。
もちろんそこで気付くのか、気付かないのか、気付いてもそのまま継続するのか。
個人の判断になりますね。
正しい歴史と、正しい内容でお伝え出来ればと思います。
一個人が書いた記事ですので、間違った部分もあるかも知れませんがご容赦ください。
それでは、ブルース・リーのジュンファングンフー、ジークンドーの違いについてお伝えしていこうと思います。
ジュンファングンフーとジークンドーの大きな違いは詠春拳を捨てたこと?
Bruce and Yip Man. pic.twitter.com/AwKIIyFkp8
— Bruce Lee (@brucelee) May 20, 2022
この画像はブルース・リーとイップマンです。
イップマン(葉門)とは香港の中国武術家。
イップマンは詠春拳葉問派宗師。
そのイップマンにブルース・リーは詠春拳を習っていました。
つまり、ジュンファングンフーの技術的な核は詠春拳です。
ジュンファングンフーのジュンファンとはブルース・リーの中国名。
李振藩(リ・ジュンファン)のジュンファンと功夫(グンフー、カンフー)を組み合わせたものが、振藩功夫(ジュンファングンフー)ということです。
以下の文章から振藩功夫をJFG、截拳道をJKDと書いている箇所があります。
詠春拳(Wing Chun)は中国の武術
『イップ・マン葉問』2010年
ドニー・イェンVSサモ・ハン
ドニーとサモ・ハンのド迫力バトル#ドニーイェン #サモハン
#イップマン pic.twitter.com/fbU81iGgjl— セイジ (@seijithanks) July 14, 2022
この動画で何となくでも詠春拳の技や戦い方が分かるでしょうか?
詠春拳の詠春は中国の女性拳法家であったといわれる厳詠春の女性の名から取ったとされています。
女性が作ったとされる拳法ですから、女性にも扱いやすいのでしょうか?
そこは不明ですが、直線的な連続パンチがよく動画などで紹介されています。
チェーンパンチや詠春拳ではジク・チュン・チョイと言われていますね。
ほかの有名な技術としてトラッピングというものがあります。
相手と腕を接触させ、その接触点から相手の腕を抑えたり、引っ張ったりしつつ、もう片方の手で打撃を入れる。
そういった防御と攻撃が一体となった技術みたいですね。
ジュンファングンフーは詠春拳がベース
JFGは詠春拳がベースとして作られた武術です。
他の武術や格闘技の経験も取り入れられ、実戦向きに改良されていきました。
- 1959年
- シアトルへと移り住んだブルース・リーは、通っていたエジソン・テクニカル・インスティテュートのクラスメートへ無償で詠春拳を教えます。
- このときに知り合った、ターキー・木村という人物が、後にJFG伝承者となります。
- 1962年
- ブルース・リーは振藩國術館という本格的な月謝制の武術スクール開設し、そこでJFGを教えます。
- 1970年
- ブルース・リーは振藩國術館、3つの武館を全て閉鎖します。
- JFGの指導を行わなくなり、その進化がストップしてしまいます。
進化がストップしたということからも、ジュンファングンフーはジークンドーと違う武術なのだと判断できるでしょう。
ジークンドーの最終形態を知っているのはテッドウォン
ブルース・リーのジークンドー最終形態を知っているのは唯一人、
ブルース・リーのトレーニング・パートナー、スパーリング・パートナーだったテッド・ウォンです。
ブルース・リーは詠春拳について、
- 「伝統的な中国武術への信用を失った」
- 「私が詠春拳に固執しなくなった理由は、このジークンドーというスタイルが上を行っていると、心の底から感じるからである」
という発言から、彼が詠春拳を捨てたことは本人の口から証明されていると断言できるでしょう。
ジークンドーの基本的な考え方として、ボクシングとフェンシングに多大な影響を受けたというのは真実で間違いありません。
振藩國術館を閉鎖後、JFGの指導はなくなり、
以降はプライベートレッスンによるJKDの指導だけとなるのです。
このことからも、ブルース・リーは教えるということに対して積極的ではなかったことが分かります。
話によると、自身の向上には積極的だったが、教えることに関してはそれほどでもなかったということです。
JKDに関しては非常に多くの制限を設け、極少数の人間にだけ教えたという話があります。
その一人がテッド・ウォンでした。
その事からも、晩年のブルース・リーが作り上げたJKDというものが、たくさんの人間に伝えられた武術ではないことが分かります。
その事からも、世に先に広まった、ジークンドーというものが、ジュンファングンフーだったというのがお分かりになると思います。
ジークンドーが最も影響を受けた格闘技は2つある?
最後はブルースの晩年、ジークンドーのファイナルステージの構えである。ブルースはこの段階のジークンドーを道場では教えず、プライベートレッスンでのみ教授していた。画像二枚目はその段階のジークンドーを学んだテット・ウォン師のオン・ガード・ポジション。 pic.twitter.com/UF3ZFsWLcQ
— ストライクフォース (@kamaeatte) August 30, 2018
こちらの画像はJKDのスタンスを分かりやすく表現できている画像となっています。
かなり綺麗な画像だと思います。
改めて見てみると、ブルース・リーのオンガードポジションがここまでカッコいいとは思わなかったです。
ここまでしっかりとオンガードポジションになって立っているブルース・リーをあまり画像で見たことがありません。
このオンガードポジション一つとっても、非常に綿密に作られているのです。
そのポジションからどのようにパンチを打つのか。
そしてそのパンチはどのようなものか。
それはフェンシングとボクシングから影響を受け、研究され、実戦に用いられた、非常に科学的で物理法則に裏打ちされたパンチなのです。
フェンシングはジークンドーに密接に関係している
ブルース・リーはフェンシングに多大な影響を受けたという情報があります。
JKDの核となった技術はフェンシングからきているはずなのに、
JKDを普通に調べていてもなかなかこのキーワードに辿り着けないと思ったことがあります。
つまりJKDにおいて非常に重要な技術の一つとして位置づけられているフェンシングが、一般的にはそこまで認知されていないということでしょうか。
詠春拳のトラッピングが強調されていたりしますよね。
その見栄えが良い技術だけ誇張されてしまったら、知らない人たちはそれがJKDと簡単に判断してしまうでしょう。
JKDのスタンス、フォーム、手の位置、足の位置、左踵の上げ方、など。
それらの細かい点を挙げるとキリがないかもしれませんが、それはフェンシングやボクシングの技術から影響を受けているのは事実なのです。
ブルース・リーが書き残した文章の引用文はほとんとがボクシングのもの
ブルース・リーは中国伝統武術に信用を無くし、そぎ落としていく中で、ボクシングついても非常に研究をしています。
こちらについてもそうですが、JKDを説明、解説する上で、ボクシングについて詳しく説明されているのをあまり見たことがありません。
よくいろんな武術の良いところだけを寄せ集めた物が、JKDと紹介されてきた経緯がありますが、
それは明らかに間違いである、と言えます。
ブルース・リーの記述の中で、JKDへ適応させて取り入れられた技術。
それは主に三つの格闘技から来ています。
- フェンシング
- ボクシング
- 詠春拳(最終的に切り捨てられた)
この非常にシンプルな構成であることを様々な人たちに知ってもらいたいと思います。
ジュンファングンフーとジークンドーの違いは?:まとめ
🐉📽🍿 Saturday Night • ‘We need emotional content, not anger. Now try again. With me.’ 🐉 Bruce Lee pic.twitter.com/GYhQh6Hbaz
— Bruce Lee (@brucelee) June 28, 2020
ここまでジュンファングンフーとジークンドーの違いについて書いてきました。
あまり詳しくは書けていないと思いますが、JFGとJKDが違う武術である、というのはお分かりになったと思います。
またその歴史、世に出回っている情報というものが、いかに間違っているか、というのも分かったと思います。
世の中には嘘の情報が蔓延っています。
ネットの情報が正しいとは限りませんし、本や人づてに聞いた情報も正しいとは限りません。
何が真実か、それは自分の目で確認していくのが一番良いと思います。
それでは今回はジュンファングンフーとジークンドーの違いについてお伝えしました。
ありがとうございました!